●ドシャ降りの雨がトタン屋根を叩き夜中に眼がさめた。幼い心は眠れぬままにいろんな事を考えた。友達の事、先生の事?。
木の建具は少しの風でも音がする。夜、布団の中で、かすかな音に、「もう春だなー」と感じる。台風の時などは、とても寝ていられない、仕方なく起きて、自然の脅威を味わった。
この遠き日の記憶はいまでも鮮明に思い出される。このささいな事は幼い心を動かすには十分であった。
我々は、このささいな出来事を抽象化しつつも建築のなかに挿入し、具体的な人間生活と交差させることによって、建築に内包される営みを常に新鮮で、感動的なものとすることを求めている。